私は埼玉県で小さな小さなネイルサロンを運営しています。先日ご来店2回目のお客様に「爪をけずるから付け替えるたびに薄くなるんですよね。」と聞かれました。
⬜️結論から言うと「ちょっと、違います」
ジェルネイルをつける前の下準備のことを「プレパレーション」と言いますが、その中で地爪のツヤを消すような作業工程「サンディング」のことをお客様は「爪を傷つける作業」と思っている方が大半かもしれません。実はコレ、爪を傷つけているというより、「表面を均(な)らす」作業。なぜなら働きものの指先に、3〜4週間人口的な装着した何かを壊れずに持たせることって実はそんなに簡単じゃないんです。お一人ずつの生活があり、お一人ずつの指遣いも食べ物も性格も違う。そんな指先に接着の理論なしに、ジェルを塗ったりなんてしたら2週間もたたないうちに剥がれたり、亀裂が入ったりしてしまうのは当然といえば当然。ただ塗って固めるのは誰でも出来ても、「誰につけても一定期間の持ちを保証できる」ことに価値があると思うのです。
⬜️「濡れ性」とは
ジェルネイルは、爪という固体面に、ジェルという液体をのせる技術。液体というのは表面張力で丸くなる性質があります。下の土台がボコボコ凹凸面が多い場合、固体と液体の間にできる接着面に凹凸の影響でばらつきが出ることになります。これは「濡れ性が均一でない」状態。私たち技術者は、「不要物を取り除きながら、最大の接着面を叶えるために濡れ性を均一に整える必要がある」んです。均一に液体がのって、フォルムのバランスがよいと強度耐久性が上がるんです。美しいものは強いし、強いものは結果、美しいワケです。ちなみに、キレイに生えそろっているような地爪もミクロでみたら表面は凸凹しているので、「サンディング不要」と書かれているジェルでも軽くスポンジバッファーなどで均一にしておいてあけるとかなり持つのではないかなと思います。あっ、ここでの接着の理論はパ◯ジェルを度外視して書いていますので、パ◯ジェルの方はメーカー側の理論に従ってくださいね。
⬜️均一に均(な)らすために
爪の周囲や、両脇の溝、細部まで丁寧に表面を均(な)らさない、または技術不足で均(な)らすことができなかった場合、持ちにゆらぎがでてくるでしょう。強圧や低いグリッドで何度も触ったら今度は爪が薄くなる原因に。狙ったところが最低限均一になるように、必要な箇所に仕込んでフォルムをつなげておく準備作業が大事。そして適切な周期でお直しすることも極めて大事。爪への負担は最小限に、指先のパフォーマンスをあげるため。それがフィルイン(お直し)という技術の醍醐味です。私たち技術者は手をかけて、手をかける前よりもっといいものに変えて提供したいんです。それが何よりのやり甲斐になるから。
️ ⬜️【補足】あたかもアセトンが悪者になっている件
また、ネイルチェンジやオフするときに使うアセトン、「アセトンは脱脂させて爪を傷ませる」と目のかたきにしている記事などを未だに見ることがあります。悪者なわけでなく、適切に扱えていないのでは?溶解パラメーター的に、ジェルを溶かすのに一番有効です。長時間触れて放置は流石によくないですが、周囲の皮膚に炭化水素系油脂で保護しつつ、適切な時間でさっととる。ゴリゴリに盛られたジェルやアクリルを「溶かす」必要があるのに、永遠に削っていたらお客様は不快ですよね。サロンワークで今回のパターンは「削る」「溶かす」どちらが早くて負担がないかな、と選べるとよいですね。ノンアセトン、酢酸メチルブチル、こちらが安全と思っている技術者の方がいたら、それもまたちょっと違うかも。。
️ ⬜️終わりに
ジェルの特性を活かして「美しくて丈夫」を叶えた結果、地爪が変わってくるわけです。爪は「環境により育つ」と言っても過言ではない気がしています。子育てと一緒ですね。持って生まれたものを活かすのにジェルをうまく使ってあげてください。
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